この言葉は建築のもつべきはたらきを端的に表しています。
古代ローマの建築家ウィトルウィウスが最初に言ったとされていますね。建築の本質に最短距離で近づける大変便利なキーワードでしょう。
これら3つの視点はお互いが相補的でバランスがとれています。ですから3つを1つのセットとして掲げたとき、建築を考える際の強力な羅針盤になるでしょう。
- 「住まい」は家族によって支えられ、「家族」は住まいによって保護される相互関係にあると思います。人に例えれば、肉体と精神の関係に繋がるものがあると考えます。人が住んでこそ「住まい」であり、家族があってこそ「住まい」であり、「住まい」は家族によって育まれ、家族と家も共に成長していく存在であります。
巣立った家族には、自分の原点がいつまでもそこにあるという「不変の故郷」が心の中に永久にその姿を留めると思います。そういう「住まい」を創りたいと思います。 - 住宅の建つ場所は、敷地形状・地域環境・自然環境と、全てと言っていい程異なっているものです。前面道路の位置、敷地との高低差、地盤の形状・地耐力それぞれの条件を熟知した上での設計でなければならないと考えます。また“向う3軒両隣”と言いますが、近隣とのトラブルを防ぐ為にも、近隣とのより良い関係を築く事も大切だと思います。
- 住宅は素材によって人に与える印象が異なります。無機質調のコンクリート住宅が好きだったり、温かさを持った木の表情が好きだったりと、好みはそれぞれで、手触り、肌触りも大切な素材選びのポイントになります。人が常日頃から、触れたりする箇所は特に慎重に選択する必要があります。和風と洋風では使用する材料が異なり、素材の特徴により空間のイメージも異なり素材は空間を構成する重要な要素です。今後は、自然素材を使った環境に優しい住宅、環境共生住宅が社会的に認知される事と思います。
- 家を建てた人のアンケートの結果、最も後悔している事は、お互いの説明不足・理解不足との結果が出ています。如何にお互いの考えを理解する事が難しいか、説明する事が難しいか実感されている事と思います。住み手は「住まい」について“思い・考え方”を整理して設計者に説明し、設計者はその情報を十分に理解しているかどうか、再度、住み手に確認することが必要であり、お互い納得いくまで話し合う必要があります。お互い「暗黙の誤解」がないようにしなければなりません。「住まい」は良くも悪くも住み手の意識の違いが如実に反映されるものであり「住まうこと」に前向きな気持ちを持ち続ける事が大切と考えます。